flow ::: concept
■■flowについて
flowは、さまざまな「境界」-- 物理的なものであったり、あるいは目に見えない形で存在する -- と呼ばれるものを取り去っていくことを望むクリエーターによって、緩やかにオーガナイズされたプロジェクトで、主に建築/音楽/映像/ネットワーク/デザイン/プログラミングなどを専門とするアーティストたちによって構成されています。現在は主に、ひとつの空間をさまざまなメディアやテクノロジーを用いて創り出すことで、そのプロジェクトは実行されています。その活動は多岐に渡りますが、まずここではflowの基本コンセプトを以下のキーワードによって説明します。
■視座の移動=境界の融解
flowは常に移動しつづけます。その移動はflowが実際に活動を行うための物理的な移動の事でもあり、また、それぞれの空間や領域を構成する、制度化し硬直化してしまったシステムや概念などに対する、クリティカルな姿勢としての移動でもあります。固定的な枠組みを一度検証し直し、柔軟かつ横断的にそれぞれの制度が持つリジッドな境界を融解させる。 それがflowの最も基本的なコンセプトです。
■現場の持つポテンシャルを知覚すること
flowの移動が周辺領域に脱領域化をもたらすこと。固定的な認識によって意味が枯渇してしまった空間に、新たに別の解釈を加えることによって、新たな場の捉え方を仮設的に設置し、空間が持つ隠れたポテンシャルを表出し現前させます。それは、物理的にも意味的にもオルタナティブな空間であり領域であると言えるでしょう。
■アートというメディアを利用して社会にコミットすること
flowの移動の過程は単純にアートという文脈にとどまるものではありません。flowの活動はアートと社会の関係についても新しい解釈を提示していきます。
美術作品がギャラリーや批評家の中での価値の範疇にとどまり、音楽作品がコンサートホールやマーケットのなかだけで語られる閉鎖的な情況、あるいは任意の場所がもつ政治的・経済的・社会的・文化的に複雑に絡み合った諸問題。flowの活動は自閉的なアートの領域に留まるのではなく、そうした問題を内包する社会全体へのフィードバックを含んだものであると考えています。
例えば、flowはごく普通の日常的な空間を選定して開催されます。それは、ギャラリーや劇場など予め特定の目的を持った空間と異なる日常的な空間を予期しない形で再体感させます。また、日常的な空間に介入することで、その空間が持つ問題を喚起し、人々により身近なものとして考えてもらいます。シリアスな問題提起を、ユーモアを持ちながら美的な表現を手段として用いつつ、分かり易いかたちで顕在化し、人々の関心を惹きつける。flowはアートというメディアを用いて社会にコミットしていきます。
また、公共空間を利用する時に生じる行政や地権者への交渉事を、(大文字の)アートのもつ効果を利用して解決していきます。ここでのイレギュラーな出来事をレギュラーなものへと定着させていくそのプロセスを、オープンなものにしていくこともflowの目的の一つです。
■media ambience re-design
以上の目的を実現するためのflowの方法論ともいえるのが、media ambience re-designです。media ambienceには3つの相/層があります。一つは物理的な空間を構成する光や音やあるいは実際のディメンションをもつマテリアル。一つにはマスメディアを始めとする情報伝達の形式や媒体としてのメディア。そして、アート/建築/音楽といったカテゴリーや文脈自体もまたメディアとして捉えられるのではないでしょうか。日常生活の基本的要素として空気のように浸透しているこれらのメディア同士の諸関係、意味関係といったものを改めて考え直し、新たな関係を模索すること。それがflowのテーマであるmedia ambience re-designです。
ここで示される、re-designというのは単純にメディア環境を再構成するということでは無く、再体感するということをも意味します。単に過去を読み直すのではなく、テクノロジーを用いながら、それによって空間そのものを五感を通して体感し直すこと、それもflowのre-designです。
■flowとメディアテクノロジ
flowが以下にあげる活動場所のような、屋外の、しかも特異な空間でもこうした表現活動が行えるようになったのは、コンピュータをはじめとするメディア機器の小型化、軽量化によるところが大きいといえます。ポータブル/モバイル化したテクノロジを用いることで、場所を転々と移動しながら(flowしながら)いつでもどこでも自分たちの表現をおこなう場をつくりだし、そしてプロジェクトが終わればすぐにもとの日常的な場に戻すということも、flowの重要な要素の一つです。
また、プロジェクトの告知等はネットワークをメインに行っています。Webサイトを立ち上げ、そこでflowのコンセプトやこれまでの活動状況をアーカイブして紹介するとともに、メーリングリストへの登録を行っています。メールというメディアを用いることで、自分たちの言葉で告知や報告を行えると同時に、状況の変化の過程をほぼリアルタイムに報告したり、読み手とのインタラクションを行うことが出来ます。
さらに、flowがつくる空間は、このようなネットによるコミュニケーションで知り合った人同士が実際に顔を合わせてコミュニケートする場としても機能します。